食欲はどこへ、、。。

「どうしたの彼？」

「あーウッチーっすよ、見られなくて」

「うっちー？」

「あっ見ます、へへ」

携帯の画面を、サッとみせた。。
そこには小さく、
水色のアルゼンチン代表ユニフォームを着た、
フジテレビのアナウンサーが写っていた。
しかも、笑顔で、、、。。

左隣にいる彼、お楽しみの幕の内弁当を開きもしない。。

「おう、大丈夫か？　試合もうすぐ始まるぞ」

「だって、、ウッチー見れなっかんですよ」

「そっかー、、、」

美女の力はすごいもんだ。。
メシすら奪っていく。

「おい、元気出せよ。　オレがいいものみせてやるよ」
何が見られるかわからなかったが、何かみられるとは思った。。

オレはどこ行っても非常経路を探す。。
学校で習ったはず。
外国のホテルに行っても、すぐ確認する。。
パニックな時に、自分で判断する為に、、。。

初日に休憩時間の間に確認に歩いた。。
自分のバックステージパスで、
どこのエリアまで行けるのかも調べておいた。。


「行くぞ」
金属探知機をくぐり、
ドーム入り口横の部屋にパスをみせて入る。。

外国人記者たちが、大きな体で小さなパソコンを打っている。。
立ち話をしたり、スターティングメンバー表をみたり、
他会場のテレビ中継が流れている。。　
セネガルがリード。

「おっ、国文太一さんだ」
弁当の彼、思わずでる声、、。
「静かに歩け、連れ出されるぞ、作業のふりしろよ」
だまって、首を縦に振る。
加藤浩二さんや、進藤アナウンサーもいる。
顔が小さい。　綺麗だ。。。。
後ろの彼は笑っていた。。

「ゴーーーーール！！！！！！」

デイビットベッカムが、
ペナルティーキックを決める数時間前の話。。。。。。